Written by
John Doe
公開日
2026-03-13

目次

Google Driveの整理に「やる気」は要らない。要るのはルールだ。

僕はかつて、Google Driveの検索窓に1日10回以上キーワードを打ち込んでいた。「提案書」「レポート 3月」「最終版」──ヒットするファイルは毎回20件以上。どれが本物かわからず、結局3つ開いて日付を見比べる。この不毛な作業を、フォルダ構造の設計とNotionの変更ログで完全に消した。所要時間は初回セットアップで約1時間。その後の「探す時間」はゼロになった。

McKinsey Global Instituteの調査によると、ビジネスパーソンは労働時間の19%を情報の検索と収集に使っている。遀40時間勤務で換算すると、年間およそ400時間。1ヶ月分の営業日がまるごと「探しもの」に消えている計算だ。

この記事では、Google Driveのフォルダ設計・命名規則・Notionでの変更履歴管理を、僕が実際に運用しているルールそのままで書く。


Google Driveが散らかる3つの原因

原因はいつも同じ。3パターンしかない。

1. 共有ドライブと個人ドライブの使い分けが決まっていない

Google Workspaceを契約している会社なら、共有ドライブ(Shared Drives)と個人のマイドライブが併存する。ここに境界線を引かないと、同じファイルが2箇所に生まれる。営業担当がマイドライブに保存した提案書を、マネージャーが共有ドライブにコピーする。どっちが最新版か、もう誰にもわからない。

使い分けのルールは単純でいい。「チームで参照するファイルは共有ドライブ。下書き・個人メモはマイドライブ。」この1行を決めるだけで重複は8割消える。

2. 命名規則が存在しない

提案書_最終.pdf
提案書_最終_修正.pdf
提案書_最終_修正_v2.pdf
提案書_最終_修正_v2_確定.pdf

笑えない。IDCの調査では、ナレッジワーカーが「正しいバージョンのドキュメントを探す・確認する」ために費やす時間は1日あたり2.5時間。年間650時間だ。命名規則がないことの代償としては高すぎる。

3. 変更の記録がどこにもない

「先月、この広告のCPA(顧客獲得単価)いくらだった?」と聞かれて即答できる人は少ない。ファイルは存在するのに、いつ・誰が・何を変えたかのログがない。結果、毎回ゼロから調べ直す。3ヶ月前と同じ失敗を繰り返す。情報が「ある」のに「使えない」状態。これが一番タチが悪い。


フォルダ構造の設計──番号付きの3層ルール

Google Driveのフォルダ設計で僕が守っているルールは3つだけだ。

ルール1: トップ階層に番号を振る

Google Driveのデフォルトソートは名前順。番号を振れば、表示順が固定される。毎回同じ並び。迷わない。

共有ドライブ/
├── 01_契約・法務/
├── 02_マーケティング/
│   ├── 広告運用/
│   │   ├── Google広告/
│   │   └── Meta広告/
│   ├── SEO/
│   └── レポート/
│       └── 月次/
├── 03_クリエイティブ素材/
│   ├── バナー/
│   ├── LP/
│   └── 動画/
├── 04_顧客データ/
├── 05_社内管理/
│   ├── 議事録/
│   └── マニュアル/
└── 06_経理・請求/

番号は01〜09で足りる。10以上になったらカテゴリの切り方が粗い証拠だから、見直す。

ルール2: フォルダの深さは3階層まで

2階層目まではあらかじめ空フォルダを作っておく。3階層目は必要になったら掘る。4階層目以降は禁止。深すぎるフォルダは誰も使わない。「入れるのが面倒」で崩壊する。

余談だけど、以前の職場で7階層のフォルダ構造を作った人がいた。本人以外は誰もたどり着けず、結局デスクトップに「ショートカット集」というフォルダができた。本末転倒の見本だ。

ルール3: 「その他」フォルダは作らない

作った瞬間、あらゆるファイルが吸い込まれて終わる。ブラックホールだ。分類に迷ったら、既存カテゴリの定義を見直す方が正しい。


共有ドライブ vs マイドライブ──線引きの基準

Google Workspaceの共有ドライブには、個人のマイドライブにはない特徴がある。ファイルのオーナーが「組織」になる点だ。担当者が退職してもファイルが消えない。これだけで共有ドライブを使う理由になる。

僕が運用している線引きはこうだ。

共有ドライブに置くもの:

  • 完成したレポート・提案書
  • クライアントへの納品物
  • 社内マニュアル・テンプレート
  • 請求書・契約書

マイドライブに置くもの:

  • 作成途中の下書き
  • 個人的なメモ・ブレスト
  • 一時的な作業ファイル

グレーゾーンが出てきたら「他の人がこのファイルを探す可能性があるか?」で判断する。答えがYesなら共有ドライブ。Noならマイドライブ。


命名規則──迷いを消すフォーマット

命名規則は1つだけ決めればいい。

[内容]_[日付YYYYMMDD].[拡張子]

具体例:

  • Google広告_CV比較レポート_20260311.xlsx
  • 指名キャンペーン_再編提案_20260309.pdf
  • 月次SEOレポート_202602.pdf

日付を入れる理由は2つ。フォルダ内でファイルが時系列に並ぶこと。そして「最終_修正_v2_確定」という地獄のバージョニングが二度と発生しないこと。

バージョン管理が必要なファイルはGoogleドキュメントやスプレッドシートを使う。Googleのネイティブ形式なら変更履歴が自動保存される。PDFやExcelでどうしてもやる場合は、日付を更新して旧版は _archive/ フォルダに移す。

もう1つ、地味だけど効くルール。ファイル名にスペースを使わない。アンダースコア _ で区切る。URLやスクリプトでファイルを扱うとき、スペースは %20 に変換されて面倒ごとの温床になる。


Notionで変更ログを管理する

ここからが本題の後半。Google Driveのフォルダと命名規則だけでは「いつ・誰が・何を変えたか」が追えない。Google Driveの「アクティビティ」パネルはファイル単体の履歴しか見られず、プロジェクト全体の変更を俯瞰するには力不足だ。

そこでNotionのデータベースを1つ作る。名前は「変更ログ」でいい。

データベースのプロパティ設計:

  • 日付(Date型)── 変更日
  • カテゴリ(Select型)── 広告 / SEO / クリエイティブ / 契約 / 社内
  • 変更種別(Select型)── 追加 / 更新 / 削除 / 移動
  • 対象ファイル(Text型)── ファイル名またはGoogle Driveリンク
  • 変更内容(Text型)── 何をどう変えたか、1〜2行で
  • 担当者(Person型)── 誰がやったか

記入例:

  • 2026/03/11 | 広告 | 更新 | Google広告_予算配分_20260311.xlsx | エリアBの予算を20%増額
  • 2026/03/11 | SEO | 追加 | FAQ記事_飲食店集客_20260311.md | 新規FAQ記事3本を追加
  • 2026/03/12 | クリエイティブ | 更新 | LP_春キャンペーン_20260312.fig | CTAボタンのコピーを変更

このログがあると、月末のふり返りが5分で終わる。「先月の広告施策で何をやったか」をNotionでフィルタリングすれば一覧で出る。PDCAの「C(Check)」が機能し始める瞬間だ。


Notion変更ログの運用を定着させるコツ

正直に書く。変更ログは「作って終わり」になりやすい。僕も最初の2週間は記入を忘れまくった。定着させるために効いた工夫が2つある。

1. Google Driveにファイルを保存したら、Notionを開くまでをセットにする

「保存→記録」を1つの動作として体に覚えさせる。歯磨きの後に顔を洗うのと同じ。別々の行為だと思うから忘れる。1セットだと思えばやる。最初の3日だけ意識すれば、あとは惰性で続く。

2. Notionのデータベーステンプレートを使う

カテゴリ・変更種別・担当者にデフォルト値を設定しておく。新規レコードを追加したとき、入力が「対象ファイル」と「変更内容」の2項目だけで済む。入力の手間が減れば、続く。

(ちなみにNotionのAPI連携でGoogle Driveのファイル更新を自動検知してログを生成する方法もある。Zapierで組めるが、ここまでやるかは組織の規模と相談。3〜5人のチームなら手入力で十分だ。)


過去のファイルはどうするか

「今あるファイルを全部整理し直すのか?」という質問を必ず受ける。答えはNo。

過去のファイルは _archive フォルダを1つ作って、まとめて放り込む。中の整理は不要。検索で見つければいい。Google Driveの検索は中身のテキストまでインデックスしているから、ファイル名が適当でも内容で引っかかる。

エネルギーを使うべきは「今日からのファイル」に新ルールを適用すること。過去を整理する時間があるなら、未来のルールを1つ決めるほうが10倍リターンが大きい。


ルールを組織に浸透させる方法

ルールは作った本人しか覚えていない。これが現実だ。

浸透させるために僕がやったのは2つ。

1. ルールをA4一枚にまとめてNotionに貼る

フォルダ構造のスクリーンショット。命名規則の例を3つ。変更ログDBへのリンク。この3点だけ。10ページのマニュアルは誰も読まない。

2. フォルダを先に作っておく

空フォルダでいい。「どこに入れるか」が見た瞬間にわかる状態を作れば、人は従う。「ルールを読んでね」より「ここに入れてね」のほうが100倍伝わる。


セットアップの手順と所要時間

ここまでの内容を実行する手順をまとめる。

Step 1: Google Driveのフォルダ構造を作る(20分) 共有ドライブに番号付きのトップフォルダを作成。2階層目まで空フォルダを用意。既存ファイルは _archive に移動。

Step 2: 命名規則を決めてNotionに記載する(10分) [内容]_[日付YYYYMMDD].[拡張子] のフォーマットをNotionのルールページに書く。具体例を3つ添える。

Step 3: Notionに変更ログDBを作る(30分) データベースを作成。プロパティを6つ設定。テンプレートのデフォルト値を入れる。試しに直近の変更を3件ほど登録して動作確認。

合計1時間。この初期投資で、翌日から「あのファイルどこ?」が消える。


整理は「攻め」の経営判断インフラ

情報整理は几帳面な人の趣味じゃない。経営判断の速度を上げるインフラだ。

過去の施策結果が5秒で見つかるから、同じ失敗を繰り返さない。最新版がどれか迷わないから、意思決定が翌日から早くなる。変更ログがNotionにあるから、「あの施策、結局どうだった?」に即答できる。誰でもファイルにたどり着けるから、属人化が解消される。担当者が休んでも業務は止まらない。

パスワード管理を1Passwordで一元化するのと同じ発想だ(チームでのセットアップ方法は1Passwordチーム導入ガイドにまとめている)。散らばった情報を1つのルールで束ねる。ツールは変えなくていい。ルールを1つ決めるだけでいい。

Google Driveのフォルダを1つ作るところから始めてみてほしい。1時間後には、「探す」という行為そのものが業務から消えているはずだ。


参考文献

Relation

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