毎月10時間以上かかっていた「SEO効果の記録作業」

「先月リライトした記事、順位は上がったの?」
こう聞かれて、すぐ答えられる中小企業はどれくらいあるだろう。
Webサイトを持っている会社なら、SEO対策に何かしら手を打っているはずだ。記事を書き直したり、構成を変えたり、専門家の監修を足したり。でも「その施策が効いたのかどうか」を数字で追えている会社は、かなり少ない。
この記事では、ある中小企業がSEO施策の効果測定を完全に自動化した話を書く。使ったのはClaude Codeという、対話しながらプログラムを作れるAIツール。エンジニアは社内にいない。プログラミングの知識もない。それでも、外注すれば月10万円以上かかる仕組みを自前で作ることができた。
ある中小企業が抱えていた悩み
その会社はWebサイトに50本以上のサービス紹介ページを持っていた。SEO業者にリライトを依頼したり、自社で専門家のコメントを追加したり、月に何本もの記事に手を入れている。
問題は、そのあとだ。
「リライトした記事の検索順位は上がったのか」「クリック数は増えたのか」「表示回数はどう変わったのか」。これを調べるには、Googleサーチコンソールにログインして、1記事ずつデータを確認し、スプレッドシートに転記する必要がある。
1記事あたり15〜20分。施策を打った記事が25本あれば、それだけで6〜8時間かかる。しかもこの作業は1回やって終わりではない。施策の1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後と繰り返しデータを取る必要がある。
担当者がこの作業に追われて、肝心の「次にどの記事を改善するか」を考える時間がなくなる。本末転倒だった。
人がやると、何にどれだけ時間がかかるのか
合計すると、1記事あたり20分、25記事で約8時間かかる。
これが毎月発生する。計測のタイミングを3回に分けると、年間で延べ100時間近くになる。時給換算で年間20〜30万円分の人件費が消えている計算だ。
AIに「仕組みごと作ってもらう」という選択肢

Claude Codeとは何か
Claude Codeは、Anthropic社が提供するAIツールで、日本語で「こういう仕組みを作ってほしい」と伝えるとプログラムを書いて実行までしてくれる。従来のAIチャットが「聞いたことに答える」のに対し、Claude Codeは「聞いたことを実際にやる」。プログラミングの知識がなくても、業務の自動化を形にできるツールだ。
実際に作ったSEO計測の全自動システム
その中小企業がClaude Codeに作ってもらったのは、こんな仕組みだ。
やること:
計測のタイミングも重要な設計判断だ。施策の効果を正しく評価するには、施策前28日間のデータをベースラインとして押さえ、直前7日間の短期基準値も併せて取得する。施策後は7日間の早期変化を確認し、28日間の中期効果を測定し、さらに3ヶ月後の28日間で最終的な効果判定を行う。この5段階の計測設計をAIが提案し、すべて自動で実行されるようにした。毎朝6時にクラウド上で自動実行されるため、パソコンの電源がオフでも勝手に動き続ける。
人がやっていた作業をすべて機械が肩代わりしている。しかも人間より正確で、漏れがない。
人に頼むといくらかかる?リアルなコスト比較

外注した場合の見積もり
同じ仕組みをシステム開発会社に外注した場合の費用感がこちら。
初期費用の合計は60〜110万円になる。
さらに月額の運用費がかかる。
月額の合計は3〜6万円になる。
初年度だけで100万円以上。翌年以降も年間40〜70万円がかかり続ける。中小企業にとって、この金額は決して軽くない。
Claude Codeで作った場合の実際のコスト
月額コストは約3,000円だ。
初期費用はゼロ。月額3,000円。仕様を変えたくなったら「計測期間を変えて」「新しい列を追加して」と日本語で伝えるだけ。追加の開発費は発生しない。
コスト比較まとめ
外注開発の場合
Claude Codeの場合
年間で50倍以上のコスト差がある。大げさに書いているわけではなく、実際に起きたことだ。
自動化の裏側:AIとのやりとりで何が起きるのか

計測ルールの設計
最初にやったのは「何を、いつ、どうやって測るか」のルール決めだ。
Claude Codeに「SEO施策の効果を正しく測るには、どの期間で計測すればいいか」と相談した。すると、Googleのデータ反映には2〜3日の遅延があることを踏まえて、施策日の翌日ではなく4日後から計測を始める設計を提案してくれた。
「知らないと間違える」ポイントを、AIが事前に教えてくれる。人間が調べて設計すれば半日かかる内容が、会話の中で5分で決まった。
AIがすべて構築した
計測ルールが決まったあとは、サーチコンソールからのデータ取得、Notionへの自動記録、毎日のスケジュール実行まで、すべてAIが構築した。こちらがやったのは「作って」と伝えることと、途中で1回だけGoogle側の管理画面でアクセス許可のボタンを押しただけだ。クラウド環境の構築もAIが担当し、パソコンの電源を切っていても毎朝6時に自動でデータが更新される仕組みが完成した。テスト実行では、25記事分のデータが一括で処理され、Notionのデータベースに綺麗に並んだ。人間が8時間かけていた作業が、2分で終わった。
ここで重要なのは、技術的な詳細よりも「意思決定のスピードが変わった」という事実だ。データが毎日自動で更新されるということは、施策の効果をリアルタイムで把握できるということ。従来は月に一度の手作業で振り返っていたものが、毎朝Notionを開くだけで最新の数字が揃っている。この差は、次の施策を打つまでのリードタイムに直結する。
中小企業が「AI環境」を持つべき3つの理由

属人化から脱却できる ── 仕組みは人を超えて残る
「あの作業は○○さんしかできない」。中小企業でよく聞く話だ。しかしこの問題の本質は、作業そのものの難しさではなく、手順が特定の人の頭の中にしか存在しないことにある。SEOデータの取得と記録も、もともとは1人の担当者が手作業でやっていた。その人が休めばデータは止まり、辞めればノウハウごと消える。自動化は単に効率の話ではない。「業務の知識を人から仕組みに移す」という、組織としての意思決定だ。AIで自動化された仕組みは、担当者が変わっても、組織が変わっても、データを取り続ける。この持続性は、人材の流動性が高い中小企業にとって、コスト削減以上の価値がある。
一度作れば資産になる ── 変化に対応し続けられる強さ
外注に頼むと「作って終わり」になりがちだ。仕様を変えたいとき、また費用が発生する。これは単にコストの問題ではなく、「変化への対応速度」の問題だ。ビジネス環境は常に変わる。計測したい指標が増える。レポートの形式を変えたくなる。新しいサービスと連携したくなる。そのたびに見積もりを取って、開発を待って、テストして、納品を受ける。このサイクルでは、変化のスピードに追いつけない。Claude Codeで作った仕組みなら、ソースコードが手元にあり、変更したいときは「ここをこう変えて」と日本語で伝えるだけでいい。実際、今回の事例でも途中で「計測の列名をわかりやすく変えたい」「3ヶ月後のデータも取りたい」という要望が出たが、どちらも会話の中で10分ほどで対応が終わった。仕組みが自社の資産として手元にあるということは、変化に対応し続けられる柔軟性を持つということだ。
「やりたいこと」を日本語で伝えるだけで形になる ── 思考と実装の距離がゼロになる
従来、業務の自動化には「要件定義書」「仕様書」「見積もり」「開発」「テスト」「納品」という長いプロセスが必要だった。このプロセスの本質的な問題は、「こうしたい」と思った人と「それを作る」人が別であることだ。伝言ゲームの中で意図がずれ、出来上がったものが期待と違う。中小企業がこのプロセスを回すのは、時間的にも金銭的にもハードルが高い。Claude Codeは、この距離をゼロにする。「毎月の作業がしんどいんだけど、自動化できない?」から始まって、「じゃあこういう仕組みはどう?」「いいね、作って」で完成する。思いついたその日に動く仕組みが手に入る。このスピード感は、単なる便利さではなく、試行錯誤のサイクルを桁違いに速く回せるという競争優位そのものだ。
よくある質問
Q. プログラミングの知識がなくても使えるの?
使える。今回の事例でも、プログラムを1行も書いていない。すべてClaude Codeが書いた。こちらがやったのは「こういうことがしたい」と日本語で伝えることだけだ。
Q. 月額3,000円で本当に足りる?
今回のようなバッチ処理(1日1回、数分の自動実行)であれば、Claude Codeの月額プラン内で十分収まる。クラウドの実行費用もGoogle Cloudの無料枠に収まっているので、追加費用は発生していない。
Q. セキュリティは大丈夫?
APIキーやパスワードはGoogle Cloudの「Secret Manager」で暗号化して保管している。プログラムのソースコードにパスワードが書かれていることはない。この設計もClaude Codeが提案してくれた。
Q. 壊れたらどうするの?
エラーが出たらNotionのデータベースにエラー内容が自動記録される。「このエラーを直して」とClaude Codeに伝えれば対応してくれる。深夜に壊れても、翌朝確認して修正すればいい。
Q. 他の業務にも使える?
SEO計測に限らず、「定期的に繰り返す作業」「複数のサービスをまたぐ作業」「人がやると時間がかかるデータ処理」は、ほぼすべて自動化の候補になる。請求書の作成、レポートの自動生成、問い合わせデータの集計など、応用範囲は広い。
人を雇う前に、まずAIに相談してみてほしい

「業務が回らないから人を増やしたい」。中小企業の経営者なら一度は考えたことがあるだろう。
でも、その業務は本当に「人」がやる必要があるだろうか。
今回自動化したSEOデータの取得・記録作業は、正直なところ人間がやる仕事ではなかった。決まったタイミングで、決まった場所からデータを取って、決まった場所に書き込む。こういう作業こそ、機械がやるべきだ。人がやるべきは、そのデータを見て「次に何をするか」を判断することだ。
人件費をかけて人を雇う前に、月額3,000円のAIツールで解決できないか、一度考えてみてほしい。すべての業務がAIで置き換わるわけではないが、「置き換えられる部分」は思っているよりずっと多い。
そして大事なのは、こうした自動化の仕組みは「早く持った会社ほど得をする」ということだ。毎月8時間の作業が消えれば、その時間で次の施策を考えられる。判断のスピードが上がる。競合との差がつく。自動化によって生まれた時間を「人間にしかできない判断」に使えるかどうかが、これからの中小企業の競争力を決める。
エンジニアがいなくても、AIに相談すれば仕組みは作れる。ただし「何を自動化すべきか」「どのデータを取るべきか」の判断には、業務とデータの両方を理解した視点が必要だ。自社の業務を棚卸しして、AIに任せる部分と人が担う部分を切り分ける。その最初の一歩を踏み出すだけで、見える景色は大きく変わる。




