「最近、Google検索からのアクセスが微妙に減ってない?」
2025年の半ばごろ、GA4の数字を見ていてそう感じた。オーガニックのセッション数が前年比で8%ほど減っている。順位が落ちたわけじゃない。検索順位はほぼ横ばい。なのにクリック数が減っている。
原因を調べていくうちに、1つの仮説にたどり着いた。ユーザーの一部が、Google検索ではなくChatGPTやPerplexityで情報を探すようになっている。
そこで出会ったのが「GEO」という概念だった。
GEOとは何か、30秒で説明する
GEOは「Generative Engine Optimization」の略。日本語に訳すと「生成エンジン最適化」。
要するに、ChatGPTやPerplexity、GoogleのAI Overviewといった「AIが回答を生成する検索エンジン」に、自社のコンテンツを引用してもらうための施策のこと。
従来のSEO(検索エンジン最適化)は「Googleの検索結果で上位に表示される」ことが目標だった。GEOは「AIの回答の中で自分のコンテンツが参照される」ことが目標になる。
目指すゴールが違う。だから、やることも微妙に違ってくる。
SEOとGEO、何が同じで何が違うか
まず安心してほしいのは、SEOとGEOは敵対する概念ではないということだ。SEOがしっかりできている記事は、GEOでも有利になる。土台は同じ。
ただし、力の入れどころが変わる。
| 観点 | SEO(従来) | GEO(AI検索) |
|---|---|---|
| 目標 | 検索結果の上位表示 | AIの回答で引用される |
| 評価者 | Googleのアルゴリズム | LLM(大規模言語モデル) |
| 重視される要素 | キーワード、被リンク、ページ速度 | 情報の正確さ、出典の明示、構造化 |
| コンテンツの特徴 | 網羅性、ユーザーの検索意図への合致 | 引用しやすい明確な記述、データの裏付け |
| 成果の測り方 | 順位、クリック数、CTR | AI回答での引用頻度(現時点では計測が難しい) |
一番の違いは「誰に読まれるか」だ。SEOは人間が検索結果の一覧を見てクリックする。GEOはAIがコンテンツを読み取って、回答の材料にする。
AIは「なんとなく良さそう」では引用しない。数値データ、出典情報、明確な定義。こうした「引用しやすい情報」が記事に含まれているかどうかが鍵になる。
自社ブログで試して気づいたこと
ここからは、F2Tブログの記事でGEOを意識した改善をやってみて、実際に気づいたことを書く。
気づき1: AI検索に引用される記事には共通点がある
ChatGPTの検索機能やPerplexityで、自社が扱うテーマ(Webflow、GA4、広告運用など)を検索してみた。すると、引用される記事にはパターンがあることに気づいた。
- 具体的な数値が含まれている: 「効果があった」ではなく「CVRが1.2%から2.8%に改善した」のように数字がある
- 定義が明確に書かれている: 「GEOとは〇〇である」のように一文で定義している
- 出典が明記されている: 参考文献やデータソースが記載されている
- 構造が整理されている: H2/H3の階層がはっきりしていて、情報が取り出しやすい
逆に、引用されにくい記事は「感想ベース」のものだった。「すごく便利だと思います」「おすすめです」のような主観的な記述が中心の記事は、AI検索の回答にほぼ登場しない。
気づき2: 「引用されやすさ」と「読みやすさ」は両立する
GEOを意識すると、記事が硬くなるのでは?と心配した。数値データや出典を増やすと、論文っぽくなって読者が離れるのでは、と。
実際にやってみると、そうはならなかった。むしろ「曖昧な表現を具体的にする」作業なので、読者にとっても分かりやすくなる。
たとえば、こういう書き換え。
変更前:
WebflowはSEOに強いと言われています。適切な設定をすることで、検索エンジンでの表示順位を向上させることができます。
変更後:
WebflowはSEO関連の設定(メタタグ、OGP、構造化データ、リダイレクト)をノーコードで管理できる。ただし、初期設定のままでは不十分で、サイトマップの送信やページ速度の最適化は手動で行う必要がある。
後者のほうが、人間にとっても、AIにとっても、情報が取り出しやすい。
気づき3: 計測が最大の課題
正直に書くと、GEOの最大の問題は「効果が測りにくい」ことだ。
SEOならSearch Consoleで順位やクリック数が分かる。GA4で流入経路も追える。でもGEOには、まだ標準的な計測ツールがない。
「ChatGPTの検索結果でうちの記事が引用されたかどうか」を体系的にトラッキングする手段は、2026年3月時点ではまだ確立されていない。手動でテーマごとに検索して確認する、という原始的な方法に頼っている。
これはGEOという領域全体の未成熟さを示している。「効果が測れないものに投資していいのか」という疑問は当然ある。
GEOのために具体的にやること
計測の課題はあるが、GEOの施策自体はSEOの延長線上にあるので、やって損はない。具体的に何をすればいいか。
ステップ1: 既存記事の「引用しやすさ」を確認する
まず、自社の主要記事を5〜10本選んで、以下の観点でチェックする。
- 記事の冒頭に「このテーマとは何か」の定義が1〜2文で書かれているか
- 数値データ(統計、事例の結果、比較数値)が含まれているか
- 情報の出典(調査元、参考URL、データソース)が明記されているか
- H2/H3の見出しが「内容の要約」になっているか(「ポイント1」のような抽象的な見出しはNG)
うちの場合、90記事をチェックしたところ、約3割の記事で「定義文がない」「数値がない」という状態だった。
ステップ2: 構造化データを整備する
技術的な対策として、構造化データ(Schema.org)の実装がある。記事にFAQスキーマやHowToスキーマを追加すると、AIがコンテンツの構造を理解しやすくなる。
Webflowの場合、カスタムコードの埋め込みでJSON-LDを追加できる。具体的な実装方法は「Webflow SEO対策の完全ガイド」で解説している。
ステップ3: 「一次情報」を意識して書く
AI検索で引用されるために最も重要なのは、他のサイトにはない独自の情報を持つことだ。
「〜と言われています」「〜が一般的です」という二次情報の集約ではなく、自社の実体験や独自のデータに基づく一次情報を増やす。
F2Tブログの高スコア記事を振り返ると、上位に来るのは全て一次情報が豊富な記事だった。「月400万円の広告費が消えた」体験談、84本のRSAを設計した全工程の記録、GA4レポートをn8nで自動化した手順。どれも「この会社にしか書けない内容」になっている。
ステップ4: 定期的にAI検索で自社テーマを確認する
月に1回程度、自社の専門テーマでChatGPTやPerplexityを使って検索してみる。
- 自社の記事が引用されているか
- 引用されている場合、どの部分が引用されているか
- 競合のどの記事が引用されているか
ここから「AIが好む情報の書き方」が見えてくる。地道だが、ツールが整備されるまではこの方法しかない。
GEOとSEOの関係を、冷静に整理する
ここまで読むと「SEOよりGEOだ」と思うかもしれないが、そうではない。
2026年時点で、Webサイトへのトラフィックの大半は依然としてGoogleの通常検索からだ。AI検索の利用者は増えているが、従来の検索を置き換えるには至っていない。
つまり、優先順位は今もSEOが先。GEOは「SEOの土台の上に、追加で意識すること」という位置づけが現実的だ。
それに、GEOでやることの多く(情報の正確さ、出典の明示、構造化)は、SEOでも評価される要素と重なる。GEOを意識して記事を改善すると、結果的にSEOの品質も上がる。
両方やる、というより、「良いコンテンツの基準が1段上がった」と捉えるのが正しい。
LLMOとGEOの違い
F2Tブログには「LLMO対策」という別記事がある。「GEOとLLMOは何が違うのか」と思った方もいるだろう。
簡単に整理すると、GEOは「AI検索エンジンに引用される」こと全般を指す概念。LLMOは「LLM(大規模言語モデル)の学習データや参照先として選ばれる」ことに焦点を当てた概念。
実務上はほぼ同じ方向を向いていて、やることも大きくは変わらない。ただ、学術的にはGEOのほうが広い概念で、LLMOはその中の1つのアプローチと位置づけられる。
詳しく知りたい方はLLMO記事を参照してほしい。参考文献15件付きの網羅的なガイドになっている。
まだ「正解」がない領域だからこそ
GEOは2024〜2025年に注目が集まり始めた新しい領域で、ベストプラクティスが確立されていない。「こうすれば確実にAI検索に引用される」というテクニックは、現時点では存在しない。
だからこそ、今のうちに取り組む意味がある。SEOも初期は「正解がわからない」状態からスタートして、試行錯誤した企業が先行者利益を得た。
GEOでやるべきことは、実はシンプルだ。正確な情報を書く。出典を示す。構造を整える。独自のデータを持つ。これらは「良いコンテンツを作る」という、コンテンツ制作の基本に他ならない。
AI検索という新しいチャネルが登場したことで、その基本がより明確に問われるようになった。それだけのことだ。
GEOの学術的背景や研究動向を深く知りたい方は「LLMO対策の完全ガイド」を、Webflowでの技術的なSEO実装は「Webflow SEO対策の完全ガイド」をあわせてお読みください。
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